| 最終更新日:
02/12/2017
紙と電子、重みの違い
Wired Visionのページに「電子書籍が紙に負ける5つのポイント」という記事が載っていました。
http://wiredvision.jp/news/201106/2011060622.html
近年の電子書籍ブームの到来により、紙の書籍よりも電子書籍の売り上げが上回るようになりました。このまま順調に伸びていくと思いますが、この記事では「電子書籍には根本的な欠陥がある」と語っています。
大きな欠陥として挙げられているのが、次の5つ。
- 読了へのプレッシャーがない
- 購入した本を1カ所にまとめられない
- 思考を助ける「余白への書き込み」ができない
- 位置づけとしては使い捨てなのに、価格がそうなっていない
- インテリア・デザインにならない
なるほど納得します。
紙の書籍のよいところは、「どこまで読んだ」を視覚的に確認できること。「読んだ、読まない」がわかるように積んでおくこともできます。積んでおくと、心の片隅ではつねに「読まなくちゃ」のプレッシャーがあり、良い意味でも悪い意味でも、緊張感を保てます。
電子書籍はその部分があいまい、緊張感も一緒にスクロールされて流れてしまいます。「ポップアップウィンドウでお知らせ」といったソフトはできるかもしれませんが、紙の書籍が発するような重圧感はありません。
個人的には「書き込みができない」という点も、電子書籍の好きではないところです。
もちろん、各注釈ツールで書き込む方法もありますが、そこはやはり、手でガシガシ書き込むのとは、まるっきり自由度が違います。
特に最近、コンマ9の鉛筆で罫線や傍点、囲み罫などを入れながら書籍を読むようになったので、この自由度を再現できない電子書籍はかなりのストレスです。
さらに、紙の書籍の場合、カテゴリーごとに整理して並べてみると、隣り合う書籍から別の発見やヒントをいただくこともかなり多いのです。
▲このブロックは「脳」に関連する書籍がまとめられています
キタナイですけれど。自分の興味のバロメーターにもなります
電子の世界に書籍ソフトの書棚をいくつか持っていますが、ここから得る気付きはあまり多くはありません。オノレが誰を師事しているかということぐらいでしょうか(爆)。
▲電子書籍の本棚は、美しげに整頓されます。迫力は欠けます
電子書籍用の本棚は、書棚の大きさに合わせて書籍の縮尺が変更されます。このため
、書籍によって拡大縮小率が違っていたりします。
上記の本棚の一部を、紙の書籍で見てみると、こんな感じになります。
▲FLORAもISSIMBOWも大きな書籍なのでした
うーむ、やはり迫力が違ってきますね。
紙の書籍は、大きさを変えられません。入らないときは、積ん読か立て懸けるか、別の本棚を買ってくるか、図書館に寄贈するか、人にあげちゃうか、なんらかの対策が必要です。変幻自在でないということは、その分、存在感も大きくなります。
購入したばかりの書籍は、ぱりっと新鮮な若さがあります。一方、何回も読み直した書籍には、年輪と落ち着き(と手垢)があります。どの本にも歴史があり、1冊1冊の発するパワーがものすごく大きいです。
このパワーこそ、紙の書籍の最も優れたところなのかもしれません。